世界の国からMacintosh

日本のコンピューター雑誌「マックピープル」に連載していたコラムのノーカット、 オーサーズエディションです。ニューカレドニアのコンピューター事情についてがテーマです。

  

プロフェッショナルに最新環境は必要ない!?

2003/04/15号

 うちではMacで作成したオリジナルデザインのTシャツを販売しているのですが、プリントや刺繍はオーシャン・プリントと言うアトリエに頼んでいます。ニューカレドニアといえどデザイン関係はMacの独壇場で、オーシャン・プリントでもMacを使っています。

 で、うちの営業担当のウィルフレッド君は店に来るたびにMacの話をしていきます。そして日本語はまるっきり分からないのに、マックピープルの最新号を見せて欲しいとせがみます。確かに写真を見ながら型番や値段は理解できるようで、気に入ったものを見つけると「これはなんて書いてあるんだ?」としつこく聞いてきます。だいたい私が日本からニューカレドニア初のスタジオディスプレーを買って帰ったときも、まるで自分の物のように友達に自慢していたほどのMac好きです。

 そのウィルフレッド君がオーシャン・プリントでもクイックシルバーG4を買ったと自慢していたのを思い出したのでちょっと見に行って来ました。オーシャン・プリントで最もMacを使っているのはデザイン担当のパスカルさんです。パスカルさんはニューカレドニアでも有名なTシャツデザイナーで、当店がいつかは追い抜きたいと密かに願っている地元の有名ブランドのデザインも手掛けている人です。

 彼が使っているマシンはクイックシルバーG4/800ーOS9.2、もう一台B/W G3/400−OS8.6でした。とはいえ使っている本人はマシンの名前もクロック周波数もまるっきり関心が無く、私が勝手にシステムインフォを開いて調べて分かったスペックです。

 10年以上Macを使ってTシャツデザインを続けているパスカルさんの事だから、きっとMacについても色々と興味があるのだろうと思っていた私の勘違いでした。ハードディスクの中はほとんどOSインストール時のまま、インストールしてあるアプリケーションはイラストレーター8、フォトショップ5.5の二本だけです。クイックシルバーに標準でインストールされていたOSXについては、まるっきり興味なし。触ろうと思った事もないそうです。

 日本から届くマックピープルを見てはウィルフレッドと、やれ新しいマシンが出た、それOSのバージョンアップだと日々最新のものを追いかけている自分たちがばからしく思えるほど、まるで関心のないパスカルさん。ある意味、本当のTシャツデザインのプロフェッショナルです。今の仕事をするのに十分であれば、それ以上のスペックは追いかけない姿に、私自身勉強させられるものがありました。

 パスカルさん曰く「最近のMacはウェブ作成だとか、デジタルフォトだとか、ムービー編集に特化していってるんでしょ。僕はイラストを描くだけだし、Tシャツのイラストには高い解像度は必要ないから、新しい物には興味がないんだ。まあ、速度が速くなるのはいい事だから時々は買い替えるけどね」。

 そ、そうか、私はウェブやデジタルフォトは扱っているから、新しいものを追い掛けてもいいのかな?。いや、やはり私に取ってMacは趣味なのかもしれませんね。