ニューカレドニア 水中ウエディングの旅

 今回世界で初めての水中ウエディングをしたということで、せっかくの想い出を覚えているうちに記しておこうと思い、PCに向かいました。記憶が定かでない部分や勘違い、記述の誤りなどもあると思いますがご了承くださいませ。

少しでも楽しく読んでいただければ幸いです。ばぶきち

 

8/11(日)2日目

 翌日は朝早くからイル・デ・パンへ出発だ。新しくなったというマジェンタ空港から、小さな機体が飛び立った。イル・デ・パン行きの飛行機は自由席。はしゃいだ子供のように真っ先に先頭に立ち、一番前の窓際の席を確保した私は、眼下に広がるグランドテール島に見入っていた。前に向かって左側のシートに座った我々の視界には、町や海岸線やごつごつした島の稜線が。右側のシートに座った人たちからは見事な珊瑚礁に対する小さな歓声が聞こえ、思わず(帰りは逆方向の景色を見るぞ)と心の中で固く決心したのであった。

 イル・デ・パン空港へ降り立った時は、あまりの風の強さと寒さに驚いてしまった。(ヤバいかな。。。。)と思いつつお迎えのバスに揺られていると、連日の早起きがたたってか急に睡魔が襲ってきた。初めての土地の景色を見たい気持ちを抑えて少し眠っておこう、、、と目を閉じる。がくん、と揺さぶられた感覚ではっと外を見ると、吊り橋が目前に迫っており、その下にある透き通るような水と真っ白な砂が目に飛び込んできた。空は曇っているのにとても美しかったその水は、オロ湾から流れ込んだ細長い川のように見えた海だったのだ。“天気が悪くてもニューカレドニアの海はきれいに見える”という話を聞いてはいたもののそうはいってもなぁ〜と、半信半疑であったのだけれど、まさにこのことか、と思いながらこれからはじまる楽しい日々のことを考えていた私は、思い出し笑いに似た、ニヤけた表情をしていたに違いない。

 『ル・メリディアン・イル・デ・パン』のラグーン・バンガロー・スイートはかわいらしい感じの建物だった。蚊帳付ベッドにきちん、と置いてある青いクッションがとてもキュートで、ショップに置いてあったらぜひとも買って帰りたいと思わせるものだったが、残念ながらショップはそれほど商品数が豊富な状態ではなくちょっと残念だった。離島のホテルのショップだからしょうがないのかなぁ、なんて勝手なことを考えながら気がおさまらなくてラスト1枚になっていたメリディアンの小さなロゴ入りトレーナーを購入。胸のあたりからのジップアップになっていて、何より手触りがサイコーに気持いい。「あいかわらず嬉しがりやのう」といった彼も、私が迷っていたストライプのシャツをしっかり購入しながら「ワシは長袖一着も持ってきてないからええの」と、にやり。

 部屋ではまず、チェックインのときに渡されたミニレターに目を通した。これはオプショナルツアーやショーの案内、潮の干潮時間などその日役立つ情報などが書かれてあり、それから毎日夜には翌日分が枕元に届けられるのだ。このレターにあるちょっとしたメッセージと一緒に、コーヒーチョコや海の幸を型取ったチョコなど毎日違ったものが添えられた。そして翌日の天気と温度予想のメモが。かなり嬉しいサービスだ。

 さて、日本での下調べの時からこれは乗ろう、と決めていたものが“ピローグ”。ニューカレドニア独特の、帆の付いたカヌーだ。海好きの私にはアイランドホッピングならぬビーチホッピングがはずせない。メリディアンの敷地からお散歩しながら行けるオロ湾の天然プール“ピッシンヌナチュレル”をはじめ、車で20分ほどの場所にあるクトビーチ、カヌメラビーチ。ここにはぜひ行かなければ。いろいろと相談した結果、3泊のイルデパン滞在を存分に生かせる(であろう)スケジュールを立て、ツアーや食事の予約を申し込んだ。

 初日は旅の疲れを癒す為にのんびりと。メインダイニングでゆっくりランチをいただきながら、のんびりした時間が流れていくのを感じる。お腹もいっぱいになったところで、フロントの横の階段を2階に上がったところにあるライブラリーに立ち寄ってみた。手前の壁に並んだ本と、奥に設置されてあるビリヤードの台がなんともいい雰囲気。数冊の本を手に部屋に戻り、ソファにごろりと身を任せる。さっき飲んだニューカレドニアのビール「NO.1」が身体の芯まで染み込んだのか、そのまま時間を気にしないお昼寝タイムへと突入していった。

 この日の干潮タイムは午後2時47分。ピッシンヌナチュレルへは満潮時より干潮時が行きやすいということと、最近の気温では午後の方がまだあたたかい、ということを聞いていたからなのか、私は自然に目が覚めた。外は雲が多いものの、時折陽が差し込んでいるようだ。

 ビーチボーイにタオルを借りて、敷地内の地図を片手にてくてくと目的地目指して歩いていく。途中に小屋のような建物があり、人が集っているようだった。(現地の方のおうちかな?)などと適当なことを考えてしまった私だったが、ここが予約したブーニャのお店、「Chez Regis」であることを知るのは翌々日の昼のことになる。

 浅瀬や森の小道を進んで行くと、遠くの方になんとも表現しがたい青が広がっていた。独特の南洋杉と岩に囲まれたように見えるピッシンヌナチュレルは、想像していたものよりはるかに透き通り、天然プールの淵が鮮やかなブルーに染まっている。入り江になっているためか波もなく、静かにたたずんでいた。しかし、よく見ると正面に据えた岩の向こうにはものすごい飛沫が見え、果てしなく広がる海とその荒さを感じ取ることができたのである。周辺には腰を落ち着けて寛いでいる家族連れやカップルが楽しげに談笑している。

 適当なところに荷物を置いていざ、シュノーケリングへと向かったが、おそらくそのときの水温で20度ぐらいだったろうか。足から感じる冷たさは覚悟していたものの、さすがに潜るとなるとかなりキツい。一度身体を沈めてしまえば・・・とは思うものの、なかなかしゃがみこむことが出来ない。気まぐれに雲の合間から顔を出す太陽の機嫌を伺いながら、えいっ、と肩まで冷水の洗礼を受けた。

 うようよと泳ぎ回る魚たちを追いかけながら、モルディブで見たヤガラを発見し、ここにもいるのだなぁとなんだか嬉しくなる。さすがにシュノーケリングポイントとして名高いだけあって、水の冷たさを忘れるほどに戯れてしまった。水面から身を起こすと風の寒さに震え上がりながら、バスタオルを巻きつけて、空を眺める。雲がこんなに多いのに、キレイに見えるのはなんでなんだろう。。。もちろん、太陽が出たときは格別だけれど「太陽の光がないと海の色はまったく生きてこない」と思っていた私には不思議でたまらなかった。

 イル・デ・パンでの最初のディナーはもちろんお目当てのエスカルゴ。貝ひとつが、小さな子供のこぶしより大きいんじゃないかな。表面がつるつるでキレイ。ガーリックがきいていて、ビールにもワインにも合う感じ。これが噂のイルデパン産エスカルゴなんだなぁ。もう一つのお目当てがロブスター。ところがこれは残念ながら売り切れ。今回は3度ディナータイムがありそのたびにチャレンジしてみたのだが、どうやら漁師さんはこの間ロブスターには巡り会えなかったらしく、このあとのヌメアでも食べるチャンスがなかったことにより、今回の旅行で唯一心残りの出来事となってしまった。

 しかし、さすがフランス領。料理の盛り付け方も味も、非常に満足のいくものが多く、イル・デ・パン滞在中には鹿肉・牡蠣・豚など様々なものをいただいた。メニューに“フカヒレのグリル”と書いてあるので、例の透き通ったものをグリル??と不思議に思っていたら白身魚の切り身が美しくソテーされて出てきたのには驚いた。ハーブがふんだんに使われていて非常にイケる。毎回パンのおかわりを頼んではそれぞれの皿を、もう洗わなくてもいいんじゃないかと思うほどきれいに平らげることとなったのである。