Bay Breeze編

Baybreeze夫妻のハラハラ・ドキドキ・リフー探検の旅です

 

3日目:快晴のリフー島

 波の音が聞こえる。そして、様々な種類の鳥たちの鳴き声。それらが徐々にはっきりし、私は目覚めた。時計なんていらない、なんて贅沢な目覚めだろう! 時計を見ると6時30分。私は飛び起き、テラスへ出てみた。朝日がまぶしい。今日は快晴だ! 目の前を数羽の鶏が歩き回っている。養鶏でもやっているのかと思ったが、聞いてみると野生の鶏らしい。黒い犬と、黒斑の2匹の犬もウロチョロしている。

 昨晩、バスルームの天井ライトが切れてしまったので、その旨フロントの女性に伝えると、オーケー!と言って部屋番号を控えていた。洗面台に小さなライトがあるので、とりあえずは事足りるが、やはり電球をつけかえてもらえるとありがたい。が…夜までに、いや、滞在中に直してくれるだろうか?

 今日はホテルのレストランで朝食をとることにした。1人1200CFP。朝食後、レンタカーのカウンターで東洋人系のオバサンから車を借りた。その際、ビーチ情報など教えて貰うが、ほとんどAQUAの旦那様に教えて貰ったのと重複している。

 ここで、レンタカーでリフー島を走る際に注意点がある。対向車や歩いている住民とすれ違ったら手を挙げて挨拶するという習慣的なものから、ロワイヨテ観光局が出している道路マップに掲載されている以外の道は、私道の可能性があるので乗り入れてはならないという点まで、頭に入れておくべき点が多くある。共産制を敷き伝統を重んじるリフーの住民達からすれば、私たち観光客は人の庭に入り込んできた侵入者のようなもの。その辺をしっかりわきまえておく必要がある。また、島民との無用のトラブルを避けるため、フランス語もある程度できたほうがよい。妻が片言でもできるので、私はそれに頼る格好になったが、次回からはしっかり勉強していこうと思う。

 今回のレンタカーはシトロエン・サクソ。室内の仕様はプジョー106とそっくりだった。プジョー・シトロエン系の車の常だが、クラッチのミートポイントがかなり手前でやりにくい。何度か悪態をつきながら、私は車を発進させた。

 最初に、Korailというスーパーで買い物をした。ウエ村にある、島で一番大きなスーパーで、隣には雑貨店もある。月曜日の朝だからか、駐車場はかなり混み合っている。とりあえずモンドール(ミネラルウォーター)だけ買い、一路ロンガニビーチへ向けて車を走らせる。交通量は極めて少なく、非常に快適で心地よいドライブだ。

 ホテルのあるウエ村からロンガニビーチまでは約30 km。それを20分そこそこで走り、観光客らしき人のレンタカーが止まっている所へ車を乗り入れた。

 ロンガニビーチ。驚くぐらい真っ白な砂浜、言葉で表せないぐらい美しい海の色。おまけにビーチにはフランス人家族一組しかおらず、こんなに綺麗な場所をほとんど独り占め。こんな場所が地球上にあったのか! 大袈裟かもしれないが、本当にそう感じた。

 早速海に入ってみる。昨年のアメデ島同様、日射しは強いが水は冷たい。徐々に体を慣らしてから、ちょっと泳ぎ回ってみたが、魚はほとんどいなかった。しばらく海で泳いだ後、写真でよく見られるマッシュルームみたいな岩(レンタカー屋のオバサンは、「コーラル・マッシュルーム」と言っていた)のあるところまで移動した。光の加減で写真が撮りづらかった。とにかく眩しい。

 昼御飯どきだが、このあたりには何もないので、車でウエまで戻る。途中、ジョジップという集落でひと休みしていると、学校らしき建物の方から子供が3人走ってきた。みんな陽気で人なつっこい。彼らの写真をデジカメで撮り、すぐにその映像を見せてあげると、ものすごく喜んでくれた。私たちが走り去るとき、彼らは「バイバ〜イ」と、いつまでも手を振ってくれた。

 ウエのVivalというスーパーの横に軽食スタンドを見つけたので、そこで豚の甘辛煮、春巻きを買う。フランス人男性とローカルの女性がお店をやっている。たまたま、同じく昼食を買いに来たフランス人と話してみる。彼は、普段はタヒチに住んでいるが、今の季節、タヒチは暑くなるのでリフーへ避暑に来ているのだという。なんとも優雅な話だ。彼から春巻きの由来を尋ねられる。中国かベトナムか、どちらだ?と聞くので、ここの春巻きは多分ベトナムだろうと答えておく。

 買った昼食を部屋へ持ち帰り、テラスで食べる。目の前のシャトーブリアン湾の海が冴え渡っている。なぜこんなに美しいのだろう? パノラマ撮影(合成)してみたが、その美しさの一端でも感じ取っていただけるだろうか。

 美しいビーチを眺めながらの贅沢な昼食の後、アペトラの集落の先にあるビーチへ出かけた。途中、珊瑚土でできた道を走る。ヘミングウェイの小説「海流の中の島々」で、この珊瑚土の道が出てくるが、実物を見て少し感動する。確かに眩しい道だ。

 目指した所はこじんまりしたビーチだが、ここも海は最高に美しい。何組かのフランス人家族に混じって、私は海に入った。水が冷たいのはいつもどおりだが、魚がいたので水中写真に初挑戦する。

 水中ハウジングにデジカメをセットし、いざ!と思ったが、うまく撮れない。うーむ、水中写真はなかなか難しいぞ。おまけに、波で砂が巻き上がり、透明度が今ひとつだった。それでも、なんとか魚が写っている写真が撮れた。

 陽が傾いてきたので、そろそろウエに戻ろうと思う。再び珊瑚土の道を通り、アペトラの集落へ出る。このアペトラという集落の北西4kmのところにペングという集落があったのだが、1925年にハンセン病が流行し、人々はこの集落を捨ててアペトラに移り住んだという。そのアペトラの集落の道端に一人の女性が立っていて、私たちに手を挙げた。お?乗せて欲しいのかなと思って車を止める。女性は、どこまで行くのか?というようなことを言ったらしいので、私は「ウエ、ウエ」と言った。それじゃあ、ということで女性は車に乗り込んできた。

 妻が、ウエに何をしに行くのか尋ねると、結婚式があるという。夕方に結婚式?と思ったが、確かにそうだという。後で聞いた話だが、ウエ村の、とある場所で大勢の人が集まって何やらやっていたのは、全部結婚式の準備だったらしい。道路に太い鎖が渡してある場所があり、それも結婚式関連の儀式の一つだという。結婚式の準備は金曜から始まり、月曜日の夕方まで準備が続くのだ。

 初めて現地の住民を乗せて半ば緊張しながら運転し、ウエのロータリーの手前まで来たとき、女性はここでいいと言って降りていった。

 夕食は、ホテルのレストランで食べた。食事を終えて、部屋へ戻る途中で空を見上げるが、今日はさほど星が出ていない。曇っているのだろう。明日の晴天を祈って、今日一日が終わってゆく。