Bay Breeze編

Baybreeze夫妻のハラハラ・ドキドキ・リフー探検の旅です

 

5日目:ヌメアへ戻る日

 今日は午後の飛行機でヌメアへ戻る。リフー島とも今日でお別れだ。名残惜しい。しかしまだ時間があるので、それまで十分に楽しもうと思う。

 今朝の朝食もKorailで仕入れた。昨日の残りのパテとチーズ、ハム、葡萄。それを食べ終えると荷造りして、早めにチェックアウトを済ませた。そのまま大きな荷物はホテルに預かって貰う。

 今日は、最初にエアソの教会へ行くことにした。この教会は岬の先端に建っていて、リフー島のキリスト教徒は、必ず訪れる聖地だという。30分ほど走ってエアソの集落に入り、さらに奥に分け入って行き止まりまで走る。そこに車を止め、階段を登ったところに教会がある。建物の屋根にマリア像が悲しげに海を見下ろしている。

 この神々しい雰囲気は何だろう? キリスト教徒でない私ですら、ここはとんでもなく神聖な場所であることが感じられる。教会の中へ入ってみて、さらにその印象は強まった。打ち捨てられた感じだが、祭壇には燭台があり、1枚の写真が飾られている。白人の老女の写真だった。背景は、ヨーロッパのどこかの街だろうか。とにかく、この島で撮影されたものではない。少し、しんみりとした気持ちになって、この教会をあとにした。

 時刻は11時。車を返却するのは13時なので、まだ少し時間がある。それで、ウエから西に20 kmほどのところにある、ドゥルエウルという集落へ行ってみることにした。途中、非常に美しい場所があるので立ち寄ってみる。前日にシュノーケリングをした場所に劣らないぐらい美しい珊瑚の海で、思わず海に入りたくなったが、今日は準備をしていないので諦める。次の機会に、入ってみようと思う。

 ウエの集落を西に突っ走り、アペトラの集落を抜けてドゥルエウルへ入る。どういうわけか、やたらと車が多いし、人もたくさん歩いている。何かあったのだろうか? とにかく突き当たりまで車を進めて降りてみた。教会の鐘が盛んに鳴り響き、道行く人々は周囲にある美しい花々を手折っている。ひょっとして、と思い、たまたま通りがかった子供に聞いてみると、その子はひっくり返る仕草をしてから、何かフランス語で言った。妻によると、誰かが亡くなったらしい。やはりそうだったのか…。

 悲しみの雰囲気を観光客が乱すのはまずいと思い、私たちは引き返すことにした。が、車が大渋滞。あれれ、なんだこれは? どうやら葬列の車に紛れ込んでしまったらしい。遅々として進まないので閉口していると、迂回する道が地図に載っていた。何台か、その道を行く車があったので付いていってみると、上手い具合に迂回できた。

 さて、そろそろ車を返却しなければならない。ホテル近くのガソリンスタンドで給油しようとしたら…うわ、閉まっている! 迂闊だった。12時から14時まで昼休み閉店するのだった! ガソリンは満タンで返す約束になっているのに、どうしよう…。軽食スタンドのおじさんに、どこか空いているスタンドはないか尋ねてみたが、この時間は全部閉まっているという。13時55分に空港へ向けて出発するので、とても給油している時間はない。

 ホテルに戻り、レンタカー屋のおばさんが来るのを待つ。13時きっかりにおばさんが現れたので、事情を説明して給油していないことを告げると、「オーケー、ノープロブレム」と言って、走行距離の確認をしに行った。結局、概算でガソリン代を払うことで問題解決。ふう、助かった。

 精算を済ませたあと、おばさんと少し世間話した。昨年、私たちがアメデ島に行ったと言うと、彼女は10年前までマリーDで働いていたという。それから、何人かローカルの人を乗せたよと言うと、驚いた顔をして、「あなたたち、乗せてしまったの!?」と言う。そのおばさん曰く、私たち観光客はあまり乗せない方がいいという。理由を聞くと「酔っぱらいかもしれないし麻薬をやっているかもしれない。そういう人を乗せると大変よ。たばこをくれ、お金をくれとせがむ。ついでに、あそこも、ここも行ってくれと言う。次からはやらない方がいいわよ」ということだった。「私たちが乗せた人たちは、みな大人しかったけど」と言うと、「それはあなた達がラッキーだったのよ」

 うーむ、そういうことだったのか。さらにおばさんは言う。「普通、日本人はヒッチハイカーを乗せないと思っていたけれど、今度から日本人に車を貸すときも、地元の人をピックアップしない方がいいということを言っておかなければならないわね…」

 空港への送迎車が来たので乗り込む。海が美しかったドレウ・ヴィラージュをあとにする。結局、バスルームの電球は切れたままだった。

車はワナハム空港までぶっ飛ばす。15分で空港に到着。そこで搭乗手続きをするためにカウンターへ。トランクをよっこいしょと計量器の上に載せる。針は19.5 kgを指している。20 kg以上の荷物は追加料金を取られるので、ギリギリセーフだ。カウンターの係員がニヤッと笑う。

 チェックインも終わり、待合室で待っていると、何かおかしい。何がおかしいか考えてみると、行きは貰ったはずの黄色い搭乗券を貰っていないのだ。今回は必要ないのかな?なんて思うが、一応、ほかの人は貰っているかどうか確認しにカウンターまで行ってみた。すると、件の係員が私の方を見てニヤッと笑い、カウンターの下からそーっと2枚の搭乗券を取り出してきた。なんのことはない、渡し忘れである。

 さて、出発時刻を30分も過ぎたが、飛行機はやってくる気配がない。1時間経っても来ない。結局、70分遅れて飛行機がマジェンタから到着。降りてきた人の中に日本人がいたので、妻が遅れた理由を聞きに行ったところ、ストライキがあったらしい。

 離陸も70分遅れて、16時過ぎにワナハム空港を飛び立った。すぐに左旋回し、ヌメアへ向かう。眼下にシャトーブリアン湾が見える。あそこで3泊もしたんだなと思うと、感慨深い。近いうちにまた戻ってこよう。

 フライトは概ねスムーズだったが、グランドテール島上空に達しても降下する気配がない。いつ降りるのかと思っていると、ググッと機首が下がった。私の感覚では、旅客機としてはかなりの急降下である。ギリギリまで巡航高度で飛んで、少しでも遅れを取り戻そうということか。山肌が赤い。これがニッケルなのだろう。遠くにヤテ湖が見える。

 左手にモンドールが見え始めると右旋回した。どうやら、17番滑走路に着陸するらしい。これは、ヌメア北側の山をかすめるようにアプローチするルートで、モンドール付近で右旋回してマジェンタの滑走路と直角に飛び(専門用語でベースレッグという)、それから左旋回して滑走路に正対して着陸する。

 こんな具合にマジェンタ空港に着陸し、トランクを受け取って空港ロビーへ。そこで旅行代理店のサウスパシフィックツアーズ(SPT)の方が待っていて、車でパークロイヤルまで送ってくれる。至れり尽くせりだ。

 ホテルで旅装を解き、アンスバタをぶらぶら歩いてシトロン湾ショッピングセンターへ行く。AQUAに立ち寄り、リフー島での様子を報告するついでに、お土産も仕入れる。さて、会計をと思って妻が鞄を開けると、財布がない。さっき、私がミネラルウォーターを買いにいったあと、ホテルの部屋に置きっぱなしにしたらしい。慌てて取りに戻ろうとしたが、女将様が車で送ってくれた。(ありがとうございます〜)

 無事に会計を済ませ、お店の向かいにあるポルトガル料理店で夕食をとることにした。経営者はポルトガル出身らしい。妻はポルトガル留学経験があるので、何やら経営者とポルトガル語で話している。言葉ができるというのは便利だな、と痛感した。

 満腹になってホテルに戻り、クローゼットの灯りをつけようとしたら、またもや電球が切れてしまった。うーむ、どうなっとるんだ? その後、電気スタンドの角度を変えようとしたら、アームが折れてしまった! なんだか、物を破壊しに来たみたいだ・・・意気消沈して、眠りにつく。