世界の国からMacintosh

日本のコンピューター雑誌「マックピープル」に連載していたコラムのノーカット、 オーサーズエディションです。ニューカレドニアのコンピューター事情についてがテーマです。

  

リージョンフリーのDVDもテレビシステムは日本と違う

2004/03/01号

 日本でもDVDにはリージョンコ−ドと言うものがあって視聴地域に制限がかかっているということはかなり知られていますよね。スーパードライブ搭載のマックでは5回目に再生したDVDのリージョンコードに固定されるとか、プレーステーション2の初期ロットにはバグがあって、解除コードを入力すると世界中のDVDを見ることができるとか言われるやつです。

 日本国内に住んでれば輸入物のDVDにでも手を出さない限り関係ないのですが、ここニューカレドニアではとても重要な問題になってきます。一応この島は国としてはフランスになるので、フランスと同じリージョン指定になります。

 ところが実際に売ったりレンタルされているDVDは、フランス本国のものもあれば、隣国オーストラリアや、映画メジャーのアメリカ製、アニメは日本製と世界中のDVDが流通しているのです。

 当然市内の家電製品店に並ぶDVDプレーヤーはそれらのディスクを再生できなければ買ってもらえません。で、マルチリージョンとかリージョンフリーと呼ばれる何でもありのプレーヤが山積みになって売られています。そんなものが普通に流通していては、本来の視聴地域制限の意味がないような・・・と言った疑問はさておいて、私がこちらで買ったパイオニアのDVDプレーヤも日本製のDVDでもアメリカ製でもオーストラリア製でもちゃんと何でも再生してくれます。

 さて、ここまでは他所で作られたDVDの再生の話でしたが、最近Mangroveと言う地元のレーベル会社がローカルポップスのミュージックDVDを発売しました。

 ニューカレドニアには「カネカ」と呼ばれるメラネシア文化から発生したローカルポップスのジャンルがあります。ジャマイカのレゲエと似たような感じですが、レゲエをもっと開けっぴろげに明るくしたような曲調が特徴で、最近では南太平洋全域にカネカのムーブメントが広がってきています。

 という訳でくだんのミュージックDVDにもニューカレドニアを始め、フィジーやイースター島のグループも収録されています。おそらくそれらの地域でも同じものを発売するのでしょう、リージョンフリーのプレーヤーでなくても再生できるように、DVD自体がマルチリージョンになっていました。

 私の本業はTシャツとお土産の店で、店ではカネカのCDも売っています。もちろんマングローブのDVDも発売と同時に取り寄せて店のマックで再生してみました。店のマックは日本で買ったもので、日本製DVDにリージョンコードが固定されていますが、難なくマルチリージョンのDVDを再生することができ、内容も見応え聞き応えあるもので、「これはニューカレドニアファン必須アイテムだ!」と日本向けに販売を始めようとしたのですが・・・

 よそで色々とDVDはややこしいと聞いていたので、一応マックだけではなくて自宅の日本で買ったDVDプレーヤーで再生テストをしてみました。すると、見られないではないですか! 日本で買ったマックで再生できるのに、なぜに日本のDVDプレーヤーで再生できないのでしょうか?

 答えはテレビシステムにありました。いくらDVDがリージョンフリーでも、テレビで再生する以上、テレビシステムが合っていないと見ることができないのです。ここニューカレドニアのテレビはSECAM方式、しかしカネカのDVDはヨーロッパに合わせてPAL方式、肝心の日本はNTSC方式なんです。

うちで今使っているテレビはフルオート・マルチシステムなので日本製のDVDだろうと、地元のテレビ放送だろうと何でも見ることができるので、最近ではあまり気にしなくなったテレビシステムですが、思わぬところでシステムの違いを思い知らされました。

 もちろんDVDの発売元へはすぐに日本向けにNTSCバージョンも作るように要請しましたが、ふと振り返って気がつきました。マックってテレビシステムはちゃんとマルチになっているんですね。