ニューカレドニアからこんにちは

日本のコンピューター雑誌「マックピープル」に連載していたコラムのノーカット、 オーサーズエディションです。ニューカレドニアのコンピューター事情についてがテーマです。

  

サポートを受けられるだけで幸せです

2002/6/1号

 こんにちは、ニューカレドニアAQUA HOMEの高橋です。こんなド田舎でマックを使うこと10年、何が一番不便だってサポートというものが全く受けられないんです。最近、紙面ではピックアップ&デリバリーを見直したとか、対面修理は遅いだとかが話題になっていますが、私にいわせれば「あるだけで天国」です。いったいこれまでにどれだけのマシンや周辺機器を泣く泣くゴミ箱(デスクトップのではなく本物です)に入れてきたことか、修理さえできれば使えたはずなのにーーー。

 まずは現地で買った機器が保証期間中にコワケタ場合、当然買ったお店に持っていきますよね。すると、店員がその場でバラします。バラして直るぐらいなら、自分で直してるわい、と眼光鋭く睨みつけていると案の定、「コレハ、ダメデスネ。ホンゴクオクリデス」。確かに保証期間中なのでいっさい無料で修理に出してはくれるのですが、よーく考えてみて下さい。ここは南太平洋はニューカレドニア、本国とは遥かヨーロッパのフランス共和国。無償修理なので航空便などもっての他、どんぶらこ、どんぶらこと船便で送られていくのです。それも直行するわけもなく、幾多の港、灼熱の国々を経由して、、。早くて半年、よくすりゃ1年、そんなに待って修理できても、その間、私はどうすりゃいいの?。結局、新品を買って、壊れたものはめんどくさいのでゴミ箱へドラッグ&ドロップすることになります。

 壊れたものと言えば、その昔使っていたCRTスタジオディスプレーが忘れられません。そやつは突然、画面が消え去ってしまう癖があって、その度に私は平手打ちをして直していました。それもプラスティックケースが割れるか割れないかのギリギリの強さで!。最長記録は20分間たたき続けてやっと復旧した思い出があります。壊れたテレビはたたいて直すと言っていたのは真空管時代だったと思うのですが。(そうか!。CRTも大きな真空管だった!)

 唯一、例外的にすぐに直ったのがiMacのモデムカードが壊れたとき。とにかくバラしてモデムカードを取り外し、駄目もとでマックを扱っている店に持っていってみました。するとあったんですねー、なぜか新品のモデムカードが。アップルのパーツってバラ売りしてたっけ?との疑問を抱きながらも5千なにがしでカードをゲットして修理完了。ほとんど外付けモデムを買うつもりだったので、すごく得した気分になったのは、はたして正しい反応だったのでしょうか?

 さて、ここまではハードのお話でしたがソフトに関しては完全にサポート対象外です。だって、サポート条件に書いてあるんですもの、「日本国内での使用に限る」とか「海外での使用はサポート対象外です。」とか。

 それでもなんとか、と思って日本のサポートセンターまで国際電話をかけたりします。電話代が高い国際電話だとも言えず、次々とたらい回しにされて、やっと担当者につながった所で状況を説明すると、必ずといってよいほどこういわれます。「折り返しお電話いたしますので、電話番号をお教え下さい」。「えーっと、その、実は海外からかけているので、こちらからまた電話しますのでお名前を、、、」。「当社では海外での使用に対するサポートは行っておりません」ガチャン。つれなすぎるー。

 メールでのサポートの場合、今でこそ自前のドメインが.comだからばれないのですが、以前のドメインは.ncだったのでバレバレです。「.ncとはどちらでしょうか?。いずれにしても海外での使用はサポート対象外です」。気付くなよー。

 最近では.comだからと安心していましたが、それでもインチキはばれることがあります。ユーザー登録は日本の実家の住所で出しているので、よせばいいのにメールでの問い合わせに電話で答えてくれる親切なサポートセンターなんてのも存在します。そして何も知らない母はこういいます。「息子は今、ニューカレドニアに住んでいますけれども」。たのむよー。

 これ以外にも地元のサービスを受けるのにもサポート対象外にされたこともあります。忘れもしないADSLを導入したときのこと。モデムの設置からパソコンの設定まで業者が行うことになっていたので、OSXをフランス語で起動して待っていました。テクニシャン(仏語では技術者をこう呼びます)達がやってきて、「オー。サイシンガトノMacダー。OSXガウゴイテルー!!」としばし騒いでいじくった後、「コレハ、IPルータートイウ、キカイデスカ?。OSXモ、キョウハジメテミマシタ。コンナ、サイシンノモノハ、サポートデキマセーン」と言われてしまいました。仕方がないのでルーターを外し日本語OS9で再起動したのですが、もう、答えは見えていました。「ガイコクゴノ、システムモ、サポートデキマセーン」。結局、パラメータだけ教えてもらって、自分で設定するしかありませんでした。テクニシャンの御墨付きを貰えなかったうちのADSLは、今後ともサポート対象外です。

 そりゃ、確かに好きで海外に住んでいますよ。色々と日本から持ち込んできてはいますよ。でも、日本人には日本語が扱えるハードやソフトが必要なんです。ちゃんとお金を払って買って、持ち込むときには関税も払ってあるんです。それなのに、それなのに、何にもサポートが受けられないって言うのはひどすぎませんか?。日本ではフリーダイアルで手に入る情報が、国際電話をかけても貰えないのは理不尽ではないですか?。Office vXのエクセルで、発行と引用は使えないんですか?。iPhotoが起動に失敗してしまうのはなぜですか?。Fetch4.01でドラッグ&ドロップでファイルがアップロードできなくなったのは、どうやって直すのですか?。だれか、私をサポートしてーー。